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第二回「京都」

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第2回「京都」のインタビューは、京都や関西のパンク・ハードコアファンが足繁く通うCDショップ「アビス」の山本さんの所へ行ってきました!
ドアや壁に貼られた山盛りのフライヤーが特徴的な店内。ニューヨークハードコアやグラインドコア、ドゥームなどとジャンル分けされた棚からCDを取り出してみると、一枚一枚丁寧にレビューが書かれています。CDのほかにはDVDやバンドTシャツがあり、店内には大御所バンドに混じって、関西で活躍中のインディーズバンドのCDやTシャツも見つけました。
また、パンク以外ではクラッシックのCDの取り扱いもしていて、バラエティに富んだ品揃えが、かなり面白いです。
京都に住む、その手の音楽ファンに、知らない人はいないというほどストイックなお店。
今回は、お店を始めたきっかけや、考え方などについて聞いてみました。

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-お店は現在何年目でしょうか?また、お店を始めるようになった経緯など教えてください。

準備期間を除いて開店からの計算でしたら、1985年12月からですので、2015年12月で30年になります。現時点で29年です。
レコードを聴くのが好き、従って買うのが好きでした。一日中レコードを扱って過ごすことができたなら、幸せだろうと思っていました。なかなか採算が合いそうな場所がなかったのですが、まあどうにか、現在の場所を確保して(大家さんに感謝)、資金的にも目途がつき(母に感謝)、先輩にあたるレコード小売業界の方の協力も得られ(アサヒレコードセンター様に感謝)、開店することができました。

-なぜパンクやハードコアを専門に売っていこうと思うようになったのですか?

インディーズ・ストアとしてはパンクやハードコアが専門ですが、これは全くお客さんの要望の結果です。とは言え、まあ、要望があれば何でもやると迄は言えませんねえ。元々、若干世間の中心から離れ気味の人間なので、そういうスタンスは好きです。中心にいる人というのは胡散臭い。しかし実際、パンクもハードコアも音自体も好きです。なかでも、クラストやD-Beat、シンガロングの多いようなパンク等が特に好きです。内緒ですが、ニューウェーヴがかったのは好きじゃありません。声の好き嫌いもかなりあります。ただ、それぞれに、好きな音もあればきらいな音もある訳で、そう考えたら他のジャンルも同様です。

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-パンクを聞くようになったきっかけを教えてください。

記憶も少しあやふやですが、最初に聴いていたパンクは、Blitz や Exploitedの国内盤LPあたりだと思います。

別に深入りはしなかったと言うのか、ジャンル分けしてパンクを追及するということはなかった。多く聴く様になったのは仕事としてです。どんなジャンルにも好きなアーティストはありそうです。

-ご自身でもバンド活動などはしていたのでしょうか?

バンドはやりません。悲しい事に、楽器は何も弾けないんですよ。ガット・ギターは買ったことがあります。良い音しますね。アコースティック楽器と言うのは、音そのものが良いように工夫されてきた。電気楽器も同じですが。

-パンク以外にどのような音楽が好きですか?

音楽は何でも聴きます。最初の方はポピュラー・ヴォーカルやジャズ・ヴォーカルの様な歌物を好んで聞いていました。それからは、カントリー・ミュージックや一般的なフォーク・ミュージックなどのややアコースティックな物や、完全にアコースティックな米国白人のトラッドや完全にアコースティックなブルーズ、同時に電気楽器を使ったバンド物などです。仕事として、音楽を聴くようになってからは、もっと訳の判らないものも聞いていますね。子供の頃家に親が買ってきたクラシックのレコードもありました。その時は深入りしませんでしたが、店にクラシックに詳しいバイトの子がいたときには良く一緒にクラシックも聴きました。どのジャンルにも好きなアーティストと、送ではないアーティストがいます。時々は感動する作品がありますね。

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店内入口
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CD棚
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バンドTシャツコーナー

-最近一番感動した作品は何でしょうか?

毎日新譜案内を見て、試聴を探してコメントを書きながら、入荷するものを決めていきます。時々感動する物はあるのですが、数日たつと忘れてしまう(笑)。だから、明日訊かれたら違うバンドを挙げると思います。今日試聴する中で何か収穫があればですが。
とりあえず昨日試聴した中では、例えばDAMNATIONの1st。

同じ名前のバンドは沢山あるようですが、これはポーランドのデス・メタル。酷い内容です。酷いと言うのは「えげつなくエクストリーム」とか言うような意味ではありません。録音も酷いし何をやっているのやら良く判りません。要するに酷いのです。
それから最近偶然か、ジャズがかった作品が2点あって、1つはSONNY SIMMONS AND MOKSHA SAMNYASIN、

もう1つはMARCO SERRATOです。

いずれもジャズとドゥームや何かドローンな音楽の中間ぐらいです。
やはり大量に試聴していると、今迄聴いた中に類似したバンドがないバンドや、他のバンドと差異の大きいバンドに注目する傾向になるのかもしれません。

-京都、または関西のパンク/ハードコアシーンを見てきたうえで現在のシーンはどのように変わってきていると感じていますか?いつごろが一番盛り上がっていたのでしょうか?

盛り上がっていたのは30年前から25年前ぐらいでしょうか。30年以上前のシーンの状況は知りませんが、30年くらいが創成期だったのかなあ。いろんなジャンルのシーンがあるので、一概に言えないかも知れませんが、シーンは保守的です。衰退するのも仕方ない面もあると思います。

-関西のバンドとの関わりなどはありますか?例えば、お店でCDを置いてもらうように交渉されたり、持ち込みがあったり。

持ち込みは以前はかなり幅広く受け付けていたので覚えていません。現在の分ではSelf Release表示をしてあるCDがほぼそれに相当すると思います。検索してみると、販売中では、SANDERSONIA、BRAVE OUT、TAIL / CALLEDYOUVIE、BE LOST…、CATCHER IN THE LIE、TSURAICHI、RONINなどのバンドが持ち込みのようです。違ってたらごめんなさい。

そのバンドの作品を聴いて欲しいとか、バンドに協力できればと思って、店として作品を出した事が3度あります。インディーズ・ストアが作品を出す場合、店の宣伝のにおいのする事が多く、そう言うのは好きじゃないので、店の名前は前面には出していません。しかし制作から発売まで店の費用でやっているので奥付の様な所に会社名を表示しています。気付いている人もあるかも知れません。
レーベルをやるつもりもありませんでしたし、レーベル名は無しにするかバンド任せで、外見上はセルフリリースでした。継続的にレーベルをやろうとすれば、作品で儲けなければならないわけです。売れない作品もあるわけなので、儲けられる作品ではかなり儲けないと続けられないでしょう。でもバンドはどう思うでしょうか。ぼろ儲けされたとか、搾取されているとか思うかも知れませんね。レーベルをやっておられる方はなかなか大変だろうと思います。頭が下ります。

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-今後のお店の目標などを教えて頂きたいです。

今後の目標と言えば、早くやめたいのです。
インディーズ・ショップ部門は全く儲からなくて、ただ働きですから。おまけに長時間拘束されるし、インディーズは早くやめて、以前から兼業している中古盤専業になりたいのです。ところが、今迄通りに新譜案内に目を通し、今迄通りの入荷基準で入荷しているので、いつになれば終わりになるのか良く判りません。幸か不幸か、最近の円安で輸入盤が50%以上値上がりしてしまい、価格的に入荷できないものが増えてきたので、インディーズ・ショップ部門は縮小傾向になってはいます。全く成り行きまかせなんですが。
国内のインディーズの方は、卸業者をマイナーなところだけに絞っていたのですが、昨年営業をやめられたようです。気付いたら「新譜案内来てないなあ」で、いつの間にか消えていったと言う感じです。うちもそういう終わり方が理想だと思います。でもみんな親切ですねえ。「卸業者がなくなったから入らないよ」と言っていたら、レーベルと連絡して手はずをつけてくれたりして、新譜が入ってきていますよ。ひとまかせな感じですみません。
本屋さんの業界ではなんとか大賞とかありますねえ。「良い本」というものがあり、良心的な本屋さんとしては「良い本をお奨めしたい」と言う事のようです。なのであまり本屋さんには行かなくなりました。と言ってももちろん欲しい物があれば買いますが。私は人に奨められると欲しくなくなるのです。単なるへそ曲がりかも知れませんが、少なくとも音楽に関して、「誰が聴いても良いもの」などないと思います。今後の目標じゃなく、以前からの方針ですが、お客さんに購入を勧めません。自分の好みで選んで欲しい。どうしても欲しいのだけ買えば良いのです。CDだけじゃなく、人の生き方などもそうだと思いますが、人の意見に左右されたら後悔してもあきらめきれません。

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アビス中古レコード店
TEL:075-231-4584
住所:〒604-8047 京都府京都市中京区寺町通六角下る中筋町
http://www.k3.dion.ne.jp/~avis/top.html

Tatsuki Katayama

片山 達貴(Tatsuki Katayama)

1991年徳島県生まれ。
小・中学校ではバスケ部に所属し全国大会3位を経験したり優秀選手に選ばれるも、高校デビューし15キロ太る。
その後、美容専門学校を卒業し、美容師、郵便局員を経て2014年京都造形芸術大学入学。

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