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何が僕らをアップデートするか。

CNTRブログも久々の更新である。
仕事でいろいろと山場であり、今年もまだ8末だか無事終了の兆し。
僕らはだいたい半年働いて、半年はくたびれかけたクリエイションをリフレッシュさせ、新しい挑戦をし、種を植え、次の年を待つ。

その中の一つでなんと2年ぶりになるMNRVを開催する。
僕らがやりたいときにやるトークイベントもしくはワークショップ。
これまで5回。その前段階のものも含めるとそろそろ10回ほどの開催となる。

僕自身、デザイナーでもなければコードを書くわけでもない。
そのすごい手前の概念的なことを対象にしたクリエイションがメインとなる。
クライアントがいて、アイデアを提案し、最適なチームでゴールを目指す。
その繰り返しが僕らオバケのやり方である。そして、多くの同じ領域の作り手たちは大きなこの流れから外れてはいないはずだ。

MNRVも久々に開催するのも、面白い人がいるからであって、
今回、INSPIRING PEOPLE & PROJECT(通称:IPP)のクルーを招いて、映像監督である二宮さんを生贄に上映会&トークセッションを行う。
この二宮さん、通称ニノさんは、僕が惚れ込んでる人であり、フランスで見た原住民族が作った銅像の写真が送られてきたり、エジプトで乗った車でかけられていたカセットテープを交渉して購入し、聞かせてくれたり、水木しげるを僕もニノさんも崇拝している。

作ってるものは異なるが、向き合ってるものは似ている。
飲み始めると二人で永遠と話し込んでしまうし、年も少し離れているけど、たぶんお互いが年齢という枠組みをさほど重要視していない。
言葉を交わす以上に無言の中に何かがトレードされ、共有され、「作る」という行為において、何かはわからぬ中心的なものを睨みながら近づこうと旋回し、創作し、ときどき京都であっては話し合う。

トークでは「CREATIONS FROM THE UNCONTROLLABLE」というテーマを設定している。制御不能なものからの創作。
これはできるだけニノさんや僕を知らない人のために少し噛み砕いた言葉になっている。もっと介入した言葉を選ぶと「変奏曲」だったり「セッション」だったり、そういった類の言葉になるが、それはやめた。これまでの関係があってでてくる言葉であって、これから初めてIPPの活動や作品を見る中で変な僕個人の視点はおいておこうという判断だ。

彼らが作っているものはドキュメンタリー映像。
見たことある人もいるだろうし、初見の人もいるだろう。
まずもって僕の作る流れは設計図があって、完成イメージがあって、そこを目指していく工程にある。しかし、ドキュメンタリー映像は、ある程度の設計図はあるが、目の前で起きる現実や人間そのものの移ろいと対峙て編み出す。
それがドキュメンタリーだと僕は思っている。なので制御不能なものからの創作であり、僕らが普段生業としているクリエイションとは、向き合い方が若干異なる。

人の考えは変わるし、風景も変わる。
その日になるまで何が起こるのかわからない。
そして、その人が本質を剥き出すように導く。
飾った言葉や見え方ではなく、生々しいまでの姿を写す。
これは事前に設計して作れるものではないし、現場の判断や語りかける言葉に委ねられている。そういった手法を僕はとったことがないし、どうにかそれを学びとれないかと思っている。これは映像だけではなく、あらつる創作の現場において意味のある要素なのように僕は思う。

例えばジャズのセッションは音楽特有の音を編む現象を周辺の空気を含めて、その瞬間に生み出しつづけている。それにすごい近い。時間や人が変われば、まったく違う音楽が生まれだす。それは事前に生み出したいものを決めるのではなく、その瞬間、その空気をもって生み出している。そのセッションには挑発もあれば自由もあって、音楽のしなやかに伸びていく。

IPPが作り出す映像はどれもこれも、そういった背景をはらんでいる。
映像には質問するニノさんやクルーが写り込んだり笑い声がまぎれたり、
普通ならそういうものを消していくのに、そのまま存在してる。

昔、ある音楽家にマスタリング前の音源を聞かせてもらった。
これから人が聞き取れない周波の音やノイズは綺麗に消してしまうという。
マスタリング前のものとマスタリング後のものを聴き比べて愕然とした。
どうかんがえてもマスタリング前のものが良かったから。

人は聞こえてないと思っていた音にも反応しているんだと
自分の体と感性をもって体感した。
そういうことが、彼らの映像で起きている。言葉にしにくいのだが、彼らは映像でそれをやってのけている。

ニノさん自体、表に出ることがない人だ。
自分から発言することもアピールすることもない。
なので誰もニノさんのことを知らないだろう。
雑誌に出てるわけでもないし、何かで表彰されるとか一番顔を出さないタイプだ。
僕らはメディアに出てくるすごい人は知ってるけど、そこには出ていかないエゲツない人がいることを知っておいたほうがいい。

この人誰だろうと、その人の成果で判断するのではなく、
今回のMNRVでは是非、あなたの直感で判断してもらいたい。
僕とニノさん二人でもやろう。という話もした。とりあえず、僕らは次のステップにいきたい。それを探り続けている。その一つの瞬間をみんなに共有したい。
僕だけが知っているには、あまりに惜しく魅力的な人間である。
そして、彼らが作り出すものから、何か持ち帰って僕らをアップデートしていこう。

何かを作る仕事を選んだり、そこを目指してる若い人。
この道を選ぶと僕らにゴールはない、永遠に新しい突き詰めた世界を求めずにはいられないのだ。
どうせなら、みんなで足を踏み出す日があってもいいと思う。
9/12はそんな日にしよう。そして、ニノさんと僕の会話が難解すぎたら怖がらずに言ってください。できるだけ皆と同じ視点でニノさんの視点や思考を皆にインストールしたい。

彼らの映像は以下サイトで見れます。
そして、ここにはない映像を当日は上映します。
お待ちしています。ちなみに残り数席とのこと。お早めに。

>> INSPIRING PEOPLE & PROJECT

>> MNRV

Subaru Matsukura

AUTHOR

松倉 早星(Subaru Matsukura)

ovaqe inc.代表 / CNTR編集長 / MNRVファシリテーター
1983年、北海道富良野生まれ。立命館大学産業社会学部卒業。 東京・京都の制作会社にてプランナーとして在籍。
2011年12月ovaqe inc.設立。領域を横断した多数のプロジェクトに携わる。
http://ovq.jp/
http://subarumatsukura.com/

ovaqe inc.