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危うい時こそ楽しんだヤツの勝ち

シトシトと降る雨を見て、そろそろ春がくる気配を感じる。
この時期の雨は、冬の空気を溶かし流し去っていく匂いがする。
ぽたぽたと雨粒が音を立てる。外は暗闇だ。

忙しさの隙間をかいくぐり、
家族の時間を楽しんで真夜中に自分の時間が訪れる。
30代になったころからか、手持ち無沙汰で部屋をウロウロすることが増えた。
適当に本を開いて、つまみ読みして、また戻す。

仕事だ!育児だ!起業だ!と20代後半を過ごし、
子供も大きくなってきて、会社もなんとなく世の中の波にしがみついて
生まれた自分だけの時間に自分のカラっぽさを感じる。

過去の資産で生きてきた自負がある。
大学生の頃に得たあらゆる時間や経験。
社会に出て良き先輩たちの背中を見て学んだこと。
若い僕にとっては大いなる吸収の時間。何もかもを自分に刷り込んだ。

親になり、自分の会社を持ち、暗闇の中を手探りで進む毎日。
自分のカラっぽさを感じるのは、これまでの経験や知識だけでは
これから先の未来を照らすためには若干燃料が足りてないような気がしてる。
20代の自分なら不安で慌てているが、なぜか今は冷静に見つめなおすことができる気がする。

週末にスポッと生まれた自分の時間は、
思考がぐるぐる旋回して、暗闇にプカプカ浮かんでいるようだ。
それを怖いとは思わない。みんな、こういう時間を経てきたのかと考えたりする。

5年後の自分がどうなってるのか、この前急に聞かれた。
ちょっと考えてみたけど自分でもわかんなくて
わかんねーっす。と笑うしかなかった。

何か5年後や未来の断片を探すわけではなく、
こういうときには、たくさんの人に話を聞きに歩く。
いろんな街をウロウロ、真面目な話なんてなくていいし、
話したいことは自然と出てくるし、そういう会いたい人たちの魂に触れると
こちらもなぜか高ぶる。

刺激を受けて、生き返る感じ。
西へ東へ人に会いにいっている。
何か明確なヴィジョンを持っていることも大切だけど
それを見つけるまでのプロセスも、すごく大切だったりする。
20代前半の自分を思い出して、思ったりする。

たぶん、こういうことを10年に一回くらいは、
やりつづけて、みんな年取ってくんだろうな。
どこまで突き詰めても何かをわかるってことは難しいと思うし、
死ぬ間際に何かが分かればいい。

今はしっかりと舞い降りてきた暗闇で宝探しでも高じてみる。
これを不安と捉える人もいるだろうが、これはチャンス。
危うい時こそ楽しんだヤツの勝ち。

Subaru Matsukura

AUTHOR

松倉 早星(Subaru Matsukura)

ovaqe inc.代表 / CNTR編集長 / MNRVファシリテーター
1983年、北海道富良野生まれ。立命館大学産業社会学部卒業。 東京・京都の制作会社にてプランナーとして在籍。
2011年12月ovaqe inc.設立。領域を横断した多数のプロジェクトに携わる。
http://ovq.jp/
http://subarumatsukura.com/

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