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心地良い まち ~まちとアート編~ 此花 vol.1 #02

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これまでのインタビュー

>> 心地良い まち ~まちとアート編~ 此花vol.1 #01
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山中 俊広 [ the three konohana : http://thethree.net/  ]
インタビュー:宮城貴子(CNTR)/ 岡村綾子(CNTR)
撮影:岡村綾子(CNTR) 写真提供:the three konohana

 


 

「此花」にあるギャラリーとしての意義

ー今、各地に様々なギャラリーがありますけど、the three konohanaがここから発信したいというこだわりを伺ってもいいですか?

山中:展覧会として良質のもの、国内トップクラスと言われるような展示をするっていうのはもちろんですが、キュレーターやディレクターといった、企画の専門職の必要性を訴えていきたいと考えています。今の日本の現代美術の領域では、作家は山ほどいるのに、作家をサポートする立場の人はとても少ないんです。

ー純粋に、サポートに徹する立場の人は少ないですよね。

山中:そう。それの一番の問題は、ディレクター、キュレーターっていう職種に魅力を持っていない、またはその存在に気づいていない人が多いことだと思っています。実際いい作家はたくさんいるのに、そういう人がいないと、埋もれていく作家が増えるばかりですよね。日本の現代美術界全体でもしっかりとクオリティがあり、人材としての作家も豊富だということを見せるためには、キュレーターやディレクターの人口がもっと必要。なので、展覧会をつくることを通して、その職種の必要性を伝えていきたいですね。あとは、作家の今まで気づかなかった部分の評価を新たに引き出すっていう使命も持っているかな。

ー価値創造というところですか?

山中:価値創造っていうよりは、目線を変えるということですね。新しいものをつくりたいって言う訳じゃなくて、ちょっと目線を変えたら新しいことなんていくらでもみつかるっていうことを伝えたい。

それは、ここのスペースの特徴にも繋がるんですよね。典型的なホワイトキューブと典型的な和室の両方を備えていて、基本的には片方のスペースだけを使って展示するということは絶対しないということにしています。作品が全ての価値基準であるというホワイトキューブと、様々な要素がごちゃごちゃとしている和室という両方で、いかに作品を埋没させずにみせることができるのかっていう、2種類の対極の展示に挑戦する。それがここのもう一つのコンセプトですね。此花というまちにあるからこそできることだと思います。

 

伊吹拓展「“ただなか”にいること」展示風景   (写真撮影:長谷川朋也)

 

ー同じ作品でも、空間プロデュースができているかどうかで、全然善し悪しが違いますもんね。和室だと雑多な環境の中で、むしろ作品のキャラクターがすごく際立って出てくるから、ホワイトキューブで作品だけを見た印象と比べてみたら面白いかもしれないですね…。

山中:そうなんです、そういう点では、作家にとって展示をするには日本一過酷なギャラリーっていう自負はありますね。 茶室や床の間のある和室を展示スペースにしているところは時々見かけますが、こういう普通の生活空間のような展示室っていうのはあまりないと思うのでね。たぶん普段のホワイトキューブでは気付けなかった美術の良さが見える気がしますね。

ー本当に、此花にあるからこそのギャラリー運営の仕方ですよね。これからの活動も楽しみにしています。今回はたくさんのお話しを聞かせて頂き、有り難うございました!

 

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まち全体が力を合わせて動き始めていると感じていた此花でしたが、それは意外にも意識されていない状態で、個々が自発的に起こした動きの集まりだったこと、そして、「まちのために」という特別な想いからではなく、本当にとても自然なかたちで「暮らしがあるまち」に「アート」が根付き共存しながら、人々の生活に関わっていっているのだなということが発見できたインタビューでした。

では、このような最近の変化は、以前から此花で活動されている人々にはどう見えているのか。

次回は、山中さんよりも少しはやく此花にやってきて、住居とギャラリーを構えていらっしゃる「黒目画廊・OTONARI」の辺口さんと溝辺さんのお二人にお話をお伺いします。お楽しみに!

 

山中俊広 toshihiro yamanaka

1975年大阪生まれ。1998年大阪府立大学経済学部卒業。2001年大阪芸術大学大学院芸術文化研究科修士課程修了。2002年より大阪芸術大学博物館の立ち上げに加わり、2年間学芸員として勤務。その後複数の画廊、現代美術ギャラリーでの勤務を経て、2012年よりインディペンデント・キュレーターとして、関西を中心に展覧会企画や執筆などをおこなう。

2013年3月、大阪市此花区にギャラリースペース「the three konohana」を開廊する。
 

the three konohana :
「three/3」を運営コンセプトの主軸におき、展覧会を中心に現代美術に特化した各種企画を展開するコマーシャルギャラリー。

http://www.thethree.net

Takako Urabe

AUTHOR

占部 貴子(Takako Urabe)

1987年、岡山生まれ。大阪芸術大学芸術計画学科卒業。
駅ナカのコミュニティスペース、アートエリアB1に管理運営スタッフとして在籍後、現在は学童保育指導員として勤務しながら、子どもとアートの関わり方について考え中。
文化住宅を利用した様々な活用方法の提案と実践を行う「前田文化」メンバー。

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