「今年やらないこと」を決める

「今年やらないこと」を決める

DATE : 2015/01/04 / AUTHOR : Subaru Matsukura

少しだけ早く出社。忘年会の連続で自転車をどこに置いたか忘れてしまった。
たぶん駅前の駐輪場。帰りに回収しなければ。
京都はポタポタと溶けかかった雪がちらほら残る風景。
まだすれ違う人は正月気分。年末に残した残務を済ませるために出社した。

誰もいないオフィスで黙々と事務作業をする。
慌ただしさでこんがらがった、あれやこれやを解きほぐす。
休みがあまりとれなかった昨年を思い返して、今年はちゃんと自分をコントロールしなければな、と気を引き締める。
年始に「今年の抱負」を語る人も多いが、
たぶん今の僕にとっては「今年やらないこと」を決める方が、よっぽど前向きである。

苦行とばかりに仕事を詰め込んで家に帰るのも遅かった。
苦行というよりは好きな仕事だから、嫌でもなかったが家族には迷惑をかけた。
今までの10年を見つめ直すために使った2014年だったように思う。
2015年は自分の足だけで歩かなければと、まぁここに書いてもわからない個人的な思いで乗り切った。

80-100近い仕事を昨年はしてしまった。してしまったというと語弊があるが、
本来たった3人の会社で向き合える数ではなかった。
結局、昨年を振り返ると「今までやってきたこと」の範疇でアウトプットしていたに過ぎなかった。
昨年末で4期目に突入したオバケとしては、今までやってきたことの繰り返しは、
一番首を締める行為の一つだ。今は良くても未来の首元にじわじわと力が入っている。

僕個人としても会社としても2016年、つまり5期目が勝負だ。
大げさな言い回しも出なく、今までの自分たちと2016年の自分たちが同じことをしていたら
この会社はつぶれてしまうだろう。僕らをよく知る人は「なんで?」って思うかもしれない。
順調そうに見えるし(順調です)、楽しそうだから。

でも、順調と成長は別物で順調だからこそ成長してるわけじゃない。
だからあえて昨年は苦行イヤーにしたんだけど、2016年に向けて一応松倉も考えながら鍛えている。
足元を見て、ぼんやり歩くのはお休みのときだけでOKで
基本僕ら社会人は平日は前見て突っ走る仕事だ。どれだけ遠くを見れるかが大切なんだけど
今の僕では数年先しか見えない。 5年後、10年後の未来は霧の中だ。

少し先しか見えない人にとって、生き延びるには何が必要か。
それは瞬発力と体力じゃないかと思う。
それなしにこれ以上加速すると崖から落ちそうな気がして去年を必死に過ごした。
人生どうなるかわからないけど、どうかなったときの力が必要な時代だ。
そして、どうにもならない平和な未来というのは、おそらく商売の世界においては未来永劫ないだろう。

おまけ程度に僕の名刺には「クリエイティブ・ディレクター」と肩書きがあった。
いっそ取ってしまおうかと思ったが、株式会社オバケの誰某さん。肩書きはない。
だと、怪しさ満点だし、何度か不審がられたこともある。速攻電話切られたり。いたずら電話じゃないっす。
「クリエイティブ・ディレクター」という肩書きが嫌で「プランナー」にした。

でも、今年から?いやもう始まってる?肩書きでセパレートできるほど
シンプルな世界ではなくなっている。
事実、僕の仕事でもアイデアもあれば文章を書くものもコンセプトを作るものも
未来予想的なものもいろいろある。じゃあ、それはどんな肩書きなの?そんなのどうでもいいのだ。

時代は「横断者」がコネクトしていく。
あらゆる領域を通過でき、知識を他分野の栄養に変え、
職能をコンバートし、ユニットとして機能を生み出し、果たすと次のフィールドに行く。
それが加速度的に進んでいる。
学歴とかではなく(大事だと思うけど、一番ではない)本能が長けてるやつが強い時代だ。

業界の重戦車のように生き抜くこともできるだろう。
その道にいくべきか、違う道をいくべきか。
それを昨年ずっと考えていた。そして、そう簡単に違う道に行きます。という答えは出なかった。
もう一度ゼロから見つめ直そうと過ごした2014年。新人ばりに働いた。

今までのことも少し先のこともどっちも見て
今年は今まで背負ってきたものを半分捨てることにした。
より多くのフィールドを横断するためには荷物を減らす。
必要最低限のもので、自分の武器は自分自身。それだけで歩いていく。

僕が独身だったら、もっと気軽にいろいろ捨てたんだろうけど、
家族がいるとそうはいかない。しかも自分の会社だしね。
一つの生き方の選択にたくさんの生活がかかっている。
それを真剣に考えられるだけ、僕は大人になったのだろう。
昔だったらサクッと捨てていた気がする。

ただ純粋にワクワクする方へ歩いてきたら、今日があった。
明日もワクワクする方向に進もう。
安定した道もあるけれど、順調は成長とはイコールではないように
歩きやすい道は、ただただ身と心を重たくするだけだ。
できれば身軽にステップでも踏んで、苦しみを乗り越えよう。

AUTHOR

松倉 早星(Subaru Matsukura)

ovaqe inc.代表 / CNTR編集長 / MNRVファシリテーター
1983年、北海道富良野生まれ。立命館大学産業社会学部卒業。 東京・京都の制作会社にてプランナーとして在籍。
2011年12月ovaqe inc.設立。領域を横断した多数のプロジェクトに携わる。
http://ovq.jp/
http://subarumatsukura.com/