活版印刷のススメ ー江戸堀印刷所体験レポートー vol.2

活版印刷のススメ ー江戸堀印刷所体験レポートー vol.2
DATE : 2012/07/31 / TAG : 江戸堀印刷所, 活版印刷 / AUTHOR : Takako Urabe

江戸堀印刷所さんと活版印刷の簡単な説明、そして活版印刷を刷るにあたっての想いなどをお伝えした前回のレポート(こちら)。江戸堀さんの、印刷に対する熱い誠実な想いは感じ取っていただけましたでしょうか?今回は、実際にその場でつくって頂いた、CNTR名刺の印刷工程をお見せしたいと思います。

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まずは、凸版をつくっていきます。これはここの印刷所ではなく、専門の版屋さんでつくられます。

ちなみに、CNTRの名刺の版はこれ。


これは、イラストレーターのデータをそのままおこしてくれるのですが、1~2日でできるそうです。写真のフィルムと同じ原理で、金属版の必要のないところを腐食させて溶かして流していくやり方で作られます。

また、今回はデータでお願いしているので、こういった形で全体の版自体ができあがってくるのですが、データがなかった時代は、”活字”を組んでいってひとつの原稿をつくるという方法でした。

活字は、活字屋さんが鋳造したものを、一文字ずつパズルのように組んでいきます。この活字屋さんも今はあまりなくなってきているそうなのですが、そこから文字を買うこともできます。

文字組をされている様子の写真はこちら。

昔は、この文字組をする職人さんも専門でたくさんいらっしゃしました。例えばスペースを入れるときなども均等にずらしていったりしなければならないため、とても難しい作業になるのです。また、この文字を見つけるのが一苦労。ひらがなも”いろはにほへと”で並んでいたり、漢字は偏と旁で分かれて並んでいたり、使用頻度によって並べられていたりもするので、本当にその職人さんの世界がそこに広がっている感じになります。拾うのも大変だし、見つけても、それがどこにあったか覚えておかないと戻すのも後々大変なんです….。

ちなみに、今では簡単に引けてしまう線も、活版印刷では何十種類とある罫線の型から選んで配置する、という作業が必要になってきます。そして、これはまた活字屋さんとは別に罫線をつくる業者さんによるもの。いかにたくさんの人が関わって印刷が成り立っていたのか、よくわかりますよね。

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では、CNTRの名刺に話を戻して、刷る行程に入っていきます。

先ほどの金属版を、印刷機械にはめていきます。メタルベースという台に両面テープで固定し位置を決定したら、それをを印刷機にとりつけます。

そのあと、ローラーにインクをつけて、機械を回転し始めます。

機械の写真はこちら。

この今見えているローラーに均一にインクが馴染んだら、印刷開始!中央銀色の台に先ほどの版が貼付けられているのがわかるでしょうか?その向かいの黄色い台に紙が送られ、この二つの台がガチャン!と重なり合わされることで紙に圧力がかかり、跡がつく要領で印刷されるという仕組みになっています。

 紙を吸い取り、

 紙が送られ、

 ガチャン!と圧がかかります。

圧をかけるときの重厚で力強い音や、紙が吸い上げられていく軽い空気の音、機械自体がたてる規則正しいリズムは、聞いていてとても居心地がよく、この音の中で作業ができるなんて、幸せだなあと思う空間でした。

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そうやってできた名刺がこちら!

へこみが活きるように、少し厚めの紙を選び、さらに羊毛紙(白)と地券紙(グレー)の2種類もつくっていただきました。普通の印刷した名刺とは、やはり手触りも質感も大分違ってびっくり。

名刺は初対面で会った人に渡す場合が一番多いと思うのですが、やはりそういうときに暖かい質感を持つものが手に触れると、なんだかそこから関係も円滑にすすみそうな気がしませんか?

そんな素敵なコミュニケーションのもとになりそうな名刺になりました、有り難うございます!

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実際に印刷工程を見て、盛り上がりすぎた取材班。この様子を実際に見てみたい方は、ぜひ訪れて頂くことをおススメ致します。次回は最終回。江戸堀印刷所さんの今後の展開などを聞きましたので、お伝えしたいと思います。お楽しみに。

写真:前田健治(CNTR / MÉM)、村山恵、宮城貴子

AUTHOR

占部 貴子(Takako Urabe)

1987年、岡山生まれ。大阪芸術大学芸術計画学科卒業。
駅ナカのコミュニティスペース、アートエリアB1に管理運営スタッフとして在籍後、現在は学童保育指導員として勤務しながら、子どもとアートの関わり方について考え中。
文化住宅を利用した様々な活用方法の提案と実践を行う「前田文化」メンバー。