活版印刷のススメ ー江戸堀印刷所体験レポートー vol.3

活版印刷のススメ ー江戸堀印刷所体験レポートー vol.1
DATE : 2012/07/25 / TAG : 江戸堀印刷所, 活版印刷 / AUTHOR : Takako Urabe

江戸堀印刷所さんでの活版印刷体験レポートも、今回で最終回となりました。活版印刷の簡単な説明、そして活版印刷を刷るにあたっての想いなどをお伝えした第1回目(こちら)、そして実際にCNTRの名刺づくりの様子をお伝えした2回目(こちら)は読んで頂けたでしょうか?

ちなみに、実際に名刺をつくっているときの様子はこちらの動画でご覧戴けます。

このように素敵な名刺をつくっていただいたあと、これからどのような活版印刷所としてお仕事をされていきたいと思っていらっしゃるのか、お聞きした部分をお伝えしたいと思います。

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印刷所だからこそできる提案を

江戸堀印刷所さんは本社にも設備があるということもあり、とても多様なお仕事をされていらっしゃいます。

例えば、このノート。

 

 

活版凸凹フェスタというイベントに出展されたときにつくられたノートなんですが、色んな印刷をするときに少しずつ余る紙を組み合わせてつくったノートなんです。なので、中身の紙はバラバラなんですが、それがまた可愛くてお洒落で印象的。表紙は厚紙が使われているのですが、ここには活版で文字を印刷することも可能なんです。つまり、オリジナルの活版ノートがつくれちゃうなんて、素敵ですよね。お店の方で取り扱っていらっしゃいますので、気になる方はぜひ行ってみてくださいね。

また、印刷自体についても、ある一部分だけを活版、他の部分は本社の方でオフセット印刷、という方法でつくることも可能。組み合わせながら印刷ができるのも、自主企画として活版を運営されているここならではです。

また、活版ではありませんが、この「顔が見えるスペース」だからこそできる相談にも数多く乗っていらっしゃいます。例えば、網点(印刷物において色の濃淡や鮮明さを表すドットの集合)が1インチの幅の中にどれくらいあるかというのを線数といいますが、その線数を低くしたピンクマスター印刷の提案もされています。

ちなみにこれが、その線数を低くして印刷したものになります。とても味わい深いと思いませんか?「こういう印刷ができるならこういうデザインもあり」といった具合に、印刷の方からデザインの幅を広げていくことができるんですね。

ちなみにこれが、その線数を低くして印刷したものになります。とても味わい深いと思いませんか?「こういう印刷ができるならこういうデまた、上の写真のような紙の見本帳も用意されているので、この紙ならこういった印刷がいい、などの相談にものって頂けます。オフセット印刷の方がいいものになるとなった場合には本社の方も紹介して頂けるので、お話もスムーズにすすみそうですね。

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今だからこそできる活版印刷

今回お店にお邪魔して、印刷課程を見せていただき、またお話もたくさん聞かせて頂いたのですが、一番印象に残った言葉は「私たちはまだ新人ですから」というお言葉でした。

歴史がある活版印刷ですが、今は少し衰退している現状。でもそんな状態でもそこに面白さを感じて始めたからこそ、活版印刷のしがらみに捕われず、自由な想像と発想で新しい印刷を生み出していける。
デザイナーさんや、印刷のことがわからない一般の方(実際にはマンションの管理人さんや開業医の方など)の相談に耳を傾けられることはもちろん、そこからさらに「一緒に面白いことをしていきたい」という気持ちを持って印刷に取り組んでいくこと。そういった、印刷に対する誠実な想いを持っている方たちと、このオープンなスペースで実際に顔を見て、話し合いながら物作りをすすめていくことで、こうやって実際にいいものをつくることができるのだな、ということが実感できた体験でした。

江戸堀印刷所のみなさん、本当に有り難うございました!インもあり」といった具合に、印刷の方からデザインの幅を広げていくことができるんですね。

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というわけで、江戸堀印刷所さんの活版印刷体験レポートをお伝えしてきましたが、本当に文章と写真だけでは表せないほど、とても暖かい素敵な空間でした。デザイナーさんだけではなく、本当に誰でも来てくださって構わないとおっしゃっていらしたので、活版印刷が、またそれ以外の点でも気になった方は、ぜひ実際に足を運んでみてくださいね。必ず“心に残る印刷”との出会いが待っています。

写真:前田健治(CNTR / MÉM)、宮城貴子

AUTHOR

占部 貴子(Takako Urabe)

1987年、岡山生まれ。大阪芸術大学芸術計画学科卒業。
駅ナカのコミュニティスペース、アートエリアB1に管理運営スタッフとして在籍後、現在は学童保育指導員として勤務しながら、子どもとアートの関わり方について考え中。
文化住宅を利用した様々な活用方法の提案と実践を行う「前田文化」メンバー。