the three konohana オープン!

the three konohana オープン!

DATE : 2013/03/13 / AUTHOR : Takako Miyaki

3月15日、大阪に新しいギャラリー「the three konohana」がオープンします。最近では若手のアーティストが暮らす街としてよく知られている此花区。大阪市此花区梅香・四貫島地域を対象とした地域再活性化プロジェクト「此花アーツファーム」や、CNTRでも紹介させていただいた、まちなかイベント「見っけ!このはな」など、アートや地域に関連するプロジェクトが多数展開されています。

そこに今回新しくオープンするのが、ギャラリー「the three konohana」です。インディペンデントキュレーターとして活動をされてきた山中俊広氏により設立されたこのギャラリーは、従来の限られたコミュニティの中だけで論じられてきた現代美術に第三者を招き入れ、開かれた場をつくることをテーマにすえています。

今までもアートとまちの様々な可能性が模索され、実践されてきた此花エリア。今後ますます充実していく拠点の一つとなるこのギャラリー。最初の展覧会「Konohana’s Eye #1 伊吹 拓 展『”ただなか” にいること』」から目が離せません。

ギャラリー概要
名称:the three konohana(ザ・スリー・コノハナ)

住所:〒554-0013 大阪市此花区梅香1-23-23-2F
[アクセス] 阪神なんば線千鳥橋駅より徒歩3分。
JR環状線および阪神なんば線西九条駅より徒歩9分

TEL/FAX:06-7502-4115

ホームページ:http://www.thethree.net

メール:info(at)thethree.net
※(at)を@に変えて送信してください。

the three konohana 開廊のご挨拶
このたび、2013年3月15日に、大阪市此花区にギャラリースペース「the three konohana」(ザ・スリー・コノハナ)を開廊する運びとなりました。「the three konohana(ザ・スリー・コノハナ)」は、次代の私たちの現代美術のあり方を考え、再構築していくために必要な諸要素を、新たなプラットフォームに 置き換えて実践する、大阪市此花区に開いたギャラリースペースです。展覧会を中心に、現代美術に特化した各種企画を進めてまいります。

《three/3》 に、ギャラリースペースとしての重要なコンセプトを込めています。「第三者」の存在を意識することを念頭に置き、従来の限られたコミュニティの中で固定化 された、「作家、ギャラリー・ディレクター、美術愛好者」の関係のみで留まることなく、新たな「第三者」を見い出して、この場に迎え入れます。それによっ て、現代の流動化する価値観と共に、美術の価値やあり方をより深く議論する機会を提供する場とすることを目的といたします。

そして、 「Konohana’s Eye」「Director’s Eye」「Gallerist’s Eye」、この3種類の展覧会企画を継続的に開催することによって、美術界の主役となるべき作家と彼らをサポートするギャラリーやディレクター/キュレー ターの関係性を考察し、大阪・関西はもちろんのこと、日本の現代美術が進むべき理想的な協働形態を追求していきます。さらには、現代の優れた作家・作品・ 表現を後世に残すことの意味、さらには将来の日本の現代美術が時代と共に健全に歩んでいける確信を、ここで見出していければと思っております。

上 記の展覧会企画の他にも、アートによる新たな街づくりを提唱し実践している此花エリアの各種活動と連動した企画も提案・実行して、時代性を鑑みた美術にお ける思想の追求、私たちの生きる社会構造の進展へ、美術を通じて微力ながらでも寄与していくことを目指してまいります。

2013年2月
the three konohana 代表 山中 俊広

Konohana’s Eye #1 伊吹 拓 展「”ただなか” にいること」

Konohana’s Eye #1
伊吹 拓 展「”ただなか” にいること」

2013年3月15日(金)~5月5日(日)
開廊時間:12:00~19:00
休廊日:毎週月曜~水曜、3月21日(木)
会場:the three konohana

the three konohana 開廊パーティー/
伊吹拓展 オープニングパーティー
日時:3月15日(金)17時~22時


the three konohanaのオープニングは、関西を拠点に精力的に活動を続けている絵画作家、伊吹拓(IBUKI Taku, b.1977)の個展を開催いたします。

近年の抽象絵画の動向には、従来の美術史の文脈の継承よりも、現代社会や日常の生活にある具体的な要素を取り入れて、再構成するものが目立っているように思えます。二次元上の造形という観点から、デジタルの概念が市民権を得たことによるレイヤー的な表現。個々人の精神の不安定さの蔓延が着想となっている超感覚的とされる表現。積極的な思考の放棄による単純な行為の反復・蓄積といったものが挙げられます。これらの背景には、従来まで絵画のアイデンティティであったはずの二次元としての画面や造形の概念が、副次的なものとして扱われるようになったことも要因としてあります。モダニズムが終焉して以降、あらためて絵画そのものの概念の行き詰まりを感じさせるとともに、それを再追究する余地はまだ残っていないだろうかという思いに駆られます。

伊吹は、自らの存在と内面の世界を深く洞察し、それらを発露させるための抽象絵画に、学生時代から一貫して取り組んでいます。なかでも、彼の特徴的な表現手法とされているものが、絵具による「積層」を通じて随所に発生する「垂れ」や「滲み」です。彼にとって筆や刷毛によるストロークと等価とするこれらの手法には、彼らしい感覚が横たわっています。それは「委ねる」ことです。

そこには、アメリカ抽象表現主義以来常に語られてきた、偶然性や自然的なものによる平面絵画内への関与を見ることができます。彼はこの他力としての要素を作品に積極的に取り入れ、更には自己にも接触させることによる流動的な変化を強く意識しています。また、近年彼が取り組んでいる屋外での展示でも、日々の時間や天気における光の変化によって、常に同じ視覚認識で作品を鑑賞できない過酷な環境に作品を置きながら、伊吹は絵画そのものへ客観的なまなざしを投げ続けてきました。

当展は、これまでの伊吹の一貫した制作意識から次の段階を強く示唆させる、新作のタブローのみで構成いたします。目に見えて力強さを帯びたストロークと色彩が画面上に刻み込まれ、これまでの調和感が強かった印象から、まるでその静寂を破るような画面が現れます。これまで「委ねる」という意識の下で自然に寄り添ってきた感覚から、積極的な行為としての「描く」ことへの渇望が強まったこと、それが彼の作品に変化をもたらしているように思います。画面上には主観対客観の単なる二項対立に留まらない、一種の不均衡さが作品全体に漂っています。そんな複雑に入り組んだ両者の関係性が、画面上の情景に無数のバリエーションを生み出し、それらの中から彼は自らの手に委ねながら選び、掴み取っていく作業を積み重ねています。

感情という私的な概念はあくまでも画面の一部分に留まり、明確な行為としての筆致と色彩が、視覚的にも概念的にも画面上に明快なコントラストを生み出しています。それは絵画という概念の中に、客観性を備えた彼の主観の現れと考えることができます。他力に依存する感情よりも自意識を強めた「描く」行為を通じて、絵画への客観的なまなざしを向けること。当展において伊吹は、これまでの作家活動の中で見い出したあらゆる要素を全て画面上に撒き散らし、自らの絵画を構成する物事や概念、価値観、それらの境界線などの、まさに「ただなか」に我が身を置くことになるでしょう。

弊廊のオープニング展は、あえて絵画そのものの概念や本質についてじっくりと考える機会になればと思います。ぜひご高覧賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。